日本展示学会通信56号(4)

第3回学会賞の推薦受け付を行っています。

第3回学会賞の対象期間は2006年1月1日〜2008年12月31日です。

学術賞の対象について

学術賞は、対象期間内に完成した業績、もしくは継続的な活動を対象とし、下記の要件に該当するものとします。
a.展示の芸術に関するもの。
b.展示の技術・技能に関するもの。
c.展示の計画に関するもの。
d.展示評論・著作・出版事業に関するもの。
e.その他、展示学の目的に適合するもの。

作品賞の対象について

作品賞は、対象期間内に完成した展示で、展示学として、社会的・文化的見地からもきわめて高い水準が認められ、芸術・技術の総合的発展に寄与する優れた作品を対象とします。また、作品賞の対象は、学会員がかかわった作品に限定していません。

賞候補の公募について

学術賞と作品賞候補の推薦者は本学会員に限ります。推薦書には、学術賞は業績名、作品賞は作品名を明記し、それぞれ展示学として優れている点のコメントを記載したものを学会賞運営委員会に提出してください。
なお、詳細は「日本展示学会賞に関する規定」
http://www.tenjigaku.com/award/prize.html
および「学術賞および作品賞候補推薦要領」
http://www.tenjigaku.com/award/prize_recommend.html
をご覧ください。

提出先および問合せ先

日本展示学会東京連絡所 学会賞運営委員会
〒102-0094
東京都千代田区紀尾井町3-23文藝春秋新館6階
(株)文化総合研究所 内
電話:03-5276-5751、FAX:03-5226-7832
Email:info@tenjigaku.com

新任理事の紹介

第10期の新任理事をご紹介しています。今回は立松彰理事です。

漢詩の展示

立松 彰

 細井平洲という江戸時代の儒学者の記念館にいます。藩政改革で有名な上杉鷹山の師であります。
 かって知識人といえば元旦から四書五経を読み始めたという時代とはことなり、いまや、漢詩を読むあるいは詠むなどというのは、特殊な知識になりつつある。そうしたなかで、細井平洲を紹介する根幹になる漢詩を、どのように展示するかが大きな問題。
 漢詩もかの有名な井伏鱒二の訳した「さよならだけが人生だ」調の、詩の意味を読み取った翻訳でなければ、とても、作者の思いが伝わらない。すなわち、9世紀の唐の詩人于武陵が詠んだ「勧酒(酒を勧む)」の五言絶句である。

勧君金屈卮 君に勧む 金屈卮(きんくつし)
満酌不須辞 満酌 辞するを須(もち)いず
花発多風雨 花発(ひら)けば 風雨多し
人生足別離 人生 別離足(た)る
[井伏]
コノサカズキヲ受ケテクレ
ドウゾナミナミツガシテオクレ
ハナニアラシノタトエモアルゾ
「サヨナラ」ダケガ人生ダ
 この訳にいたって、送る者、送り出される者の惜別の情を、深く感じることができる。こうした文学者の翻訳がない平洲の詩を紹介するのに、私自身が漢詩と見学者に介在して、説明を加えるのですが、こちらに素養がないので、難儀なことです。さあどうするか。

***一口メモ***

 細井平洲(ほそいへいしゅう)は、江戸時代の儒学者。米沢藩(今の山形県米沢市)中興の祖と言われる上杉鷹山の師として、多くの教えを残しています。
 享保13年(1728)、尾張国知多郡平島村(愛知県東海市)に生まれ、幼年時代から学問に励み、名古屋、京都で遊学の後、18歳の時、長崎へ行き3年間にわたって中国語を学びました。 その後、私塾「嚶鳴館」を開き多くの人材を育てると共に中国の古い書物を研究し、学者として知られるようになりました。 平洲の教えは、幕末の吉田松陰、西郷隆盛らにも大きな影響を与えたといわれ、また、内村鑑三は、代表的日本人の一人として上杉鷹山を取り上げるとともに、その師、細井平洲を当代最大の学者と紹介しています。

東海市立平洲記念館
http://www.city.tokai.aichi.jp/~kyoiku/kinenkan/kinenkan/kinenkan.html

◆編集後記

 今年度の研究大会も無事終了することができました。ご参加いただきました会員の皆様には厚く御礼申し上げます。今回は東京での開催ということもあり、エクスカーションを行いませんでしたが「なんだかものたりないね」「寂しいね」という声もちらほら。また、今大会では会員を中心にした「討論」を初めての試みとして開催いたしました。これからも様々に学会活動を考え、研究大会のプログラムやその他の催事を考えてきたいと思います。皆様からのご意見等いただきますようお願いいたします。

日本展示学会通信56号

発行日 平成18年8月18日
編集・発行人 日本展示学会
発行責任者 高橋信裕
発行所 日本展示学会事務局